社内ナレッジ活用の課題とは? 第1回:大企業における社内ナレッジの活用の難しさ【DX推進のTips】
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【 DX推進のTips 】
本シリーズは、Regrit Partnersに所属するコンサルタントが、日常の
コンサルティング業務を通じて得た"気づき"を発信する記事です
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Associate Director/ Technology
今村 聡
目次
1.時代の変化に伴うナレッジ活用の難易度の向上
大企業で所有するデータは増大の一途を辿り、それに伴い社員間で共有すべき貴重な情報である「ナレッジ」も著しく増加してきている。そのような時代の流れもあり、多くの大企業は以下のようなことで悩まされ、解決がどんどん困難になってきている。
IT・情報化時代に突入するにあたり、顧客ニーズもどんどん多様化してきており、企業のノウハウをより蓄積・活用しなければいけない時代となってきた。
ビックデータという言葉に象徴されるように、情報量の莫大な増加が発生する一方、テレワークなど働き方の変化なども起こり、以前のように各人が有する知識を引き継ぐことが難しくなった。そのため、各人の頭の中に留まっている暗黙知が多くなり、ノウハウとして形式知化されたものが残らないようになってしまった。
更に、社員数の増加に伴う部署数の増加などにより、形式知化されたノウハウがあってもそれの管理体制がバラバラ、システムも分散していてデータがサイロ化されるなど、ナレッジの探索すらも困難となってきている。
【「暗黙知」「形式知」双方を蓄積する上での課題】
✓ マニュアルなどとしてまとめられている形式知的ナレッジ
✧ 保存場所・システムのサイロ化
✧ ドキュメント保存・記載ルールが統一されていない
✧ ドキュメントとしてそもそも誰も残そうとしない
✓ 人の頭の中に留まっている暗黙知的なナレッジ
✧ 局所的なやり取りのみで知識が引き継がれず、属人化する
✧ ドキュメントで残したとして、評価される訳ではないためずっと暗黙知のままとなる
2.デジタル技術の利活用に伴うナレッジの保管
そのような状況下で、システムを導入したものの、ナレッジ利活用が途中で頓挫してしまったという事例が見受けられるケースが増えている。
筆者が過去にご支援したクライアントは、以下のようなお悩みを抱えていた。
・無数にあるドキュメントの探索が大変で、情報探索に時間がかかってしまう
・配置場所もサーバーであったりクラウドストレージであったりバラバラで、猶更どこに配置されているかわからない
上記のような悩みを解決するため、筆者はクライアントに対して全文検索ツールの導入を提案した。このようなツールの導入により、様々な保管場所に格納されたドキュメントを横断検索するというニーズをまずは満たすことができ、一定の成果を見せた。
ただし、このような取り組みはいわば応急措置的な施策であり、検索精度を満足に至るまで向上する、及び情報探索時間を削減するという、本来の問題の解決には至らなかった。
時代や働き方の変化に伴い発生する問題に対し、一般的にはAIを活用した情報検索ツールや部門サイト内での目安箱やQA サイトの導入等を実施するケースが多いが、それでも解決できない課題が多く存在する。それらの課題が発生する真因は何かを真に考え解決するアプローチが必要であると筆者は考える。
アプローチの代表例を挙げると、社内での情報の整理・ルール統一化、インセンティブの仕組み構築など、システム面以外で実施すべきことが山ほどあるためである。
そのため次回では、筆者の経験に基づき、「目指すべきナレッジ利活用サイクルと向かうべき方向性」について論じたい。
(第1回了)

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