オペレーション改革に必要な三要素とは?~第2回:改革の視点となるオペレーションの構成要素~【コンサルタントのインサイト】
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【 コンサルタントのインサイト 】
本シリーズは、Regrit Partnersに所属するコンサルタントが過去に
携わったプロジェクトの経験を横断的に俯瞰し、個別ソリューション
や産業に関する独自のインサイトを発信する記事です
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目次
第1回記事はこちら↓
オペレーション改革の必要性とは?~第1回:企業経営におけるオペレーションの位置づけと改革の重要性~【コンサルタントのインサイト】
前回では、企業のDX推進におけるオペレーション改革の重要性を説いた。第2回では、オペレーション改革に取り組む際のリグリット・パートナーズの視点を紹介した。
1.企業経営に関する重要な要素とオペレーションの位置付け
先ずは、企業経営におけるオペレーションの位置づけから説明する。
世に出回っているオペレーション関連の書籍にもしばしば記載されている内容ではあるが、企業経営における重要な要素として「ビジョン」「競争戦略」「オペレーション」の3つの要素が上げられる(図❶)。
図❶ 企業経営におけるオペレーションの位置付け
「ビジョン」は、企業の存在意義や目指すありたい姿を示すものであり、経営者の思いや志、哲学が入った企業活動の出発点となる。
昨今ではPurpose、Mission、Visionの3つに分けて整理するのがトレンドである。人に例えると"心"に該当する。
「競争戦略」は、ありたい姿に向けて具体的にどのように競合他社と差別化を図り、マーケットにおける競争優位性を構築していくかを示した羅針盤であり、人に例えると"頭脳"に該当する。
そして「オペレーション」は、打ち立てた戦略を実行し、優位性を実現するための土台として成果(価値)を生み出す"現場"での日々の実践そのものであり、人に例えると第1回で述べたとおり"体"そのものが該当する。
どんなに素晴らしい心と頭脳を持っていても、体力がついていない場合は成果を生み出せないことは想像しやすいだろう。
逆に、強靭な体があれば、それを徹底的に活かす戦略や計画を練り直す事もできる。
ここでは詳細な説明や事例紹介は割愛するが、「Capability Besed Strategy」と呼ばれるもので、経営学者であるチャンドラーが提唱した「組織は戦略に従う」に対して、同じく経営学者であるアンゾフが提唱した「戦略は組織に従う」という理論に近い考え方である。
前者の方がよりオーソドックスな考え方のように感じる一方で、労働人口が減少し、人的リソースや組織体力の制約という課題が登場する中で、競争戦略を描かなければならない昨今の社会においては、後者について真剣に考える必要がある。
2.オペレーションの三要素
話を戻すと、リグリット・パートナーズでは「オペレーション」を3つの要素に分解して定義している(図❷)。
図❷ リグリット・パートナーズにおけるオペレーションの定義
3要素とは「経営資源」「成果に結びつける仕組み」「成果をモニタリングする仕組み」である。
オペレーション改革と聞くと、業務プロセスの改善をイメージされる方も多いと想定されるが、リグリット・パートナーズの提唱する「オペレーション改革」のスコープは、いわゆる業務プロセスの改善よりも広範なスコープを意味している。
同様のテーマとして「業務改善」や「業務改革」、「BPR」等があげられるが、それらとリグリット・パートナーズの提唱する「オペレーション改革」の違いや関係性については別途機会を改めて解説していきたい。
オペレーションを構成する3要素を以下に説明していく(図❸)
図❸ オペレーションを構成する要素
「経営資源」の詳細な解説は割愛するが、経営資源は「人」「モノ」「金」「情報」から構成され、戦略や計画を実行する際にどのような経営資源がどれだけ必要かを考える。後述する「成果に結びつける仕組み」が、どんなに綺麗に構成されていたとしても、投下する経営資源そのものに問題があると、その仕組みは全く機能しない。
次に「成果に結びつける仕組み」は、「機能/組織」「業務」「情報」「情報基盤」の4つの要素から構成され、リグリット・パートナーズではこれらを「BMA:Business Model Architecture」と呼んでいる。そして、これらの要素の構築する上での制約となる法規制や社内規定・ルール等の「ガイド」の観点も必要となる。
また、機能という概念を組織と並列で記載しているが、本来、機能論はオペレーションの中でも全体を包含する上位概念に該当するため、戦略・計画を実現するためには、企業としてどのような機能が必要かを考える必要がある。その必要機能に従って必要な経営資源や仕組みを考えていくべきだが、前段で述べたCapability Based Strategyの考え方を鑑みて、本論では一旦便宜的に纏めて記載している。
この点で注目すべきは、「情報」という要素が経営資源と仕組みの両方の役割として定義されていることだ。「情報」は人に例えるならば"血液"に該当する。
血液は、それ自体が無いと生きていけない事はもちろん、体の各部位を効率的且つ効果的に機能させるための潤滑油としての役割も兼ねている。昨今のDXの取り組みにおいても、情報やデータの効果的な活用について積極的な情報発信がなされているが、正に企業全体に流通している情報やデータを本当の意味で経営資源として昇華して活用しようという取り組みそのものである。
最後の「成果をモニタリングする仕組み」は、特にこの観点で整理すべきという決まりがあるわけではないが、しばしば活用されるフレームワークとして「BSC:Balanced Score Card」を挙げたい。
日々の実践の成果を「財務の視点」「顧客の視点」「業務の視点」「学習と成長の視点」の視点で整理し、各項目で設定されたKGI/KPIの達成状況をモニタリングしながら、継続的な改善や戦略・計画の見直しに反映していくのである。
ご認識の通り、リグリット・パートナーズの提唱するオペレーション改革のスコープは多岐に渡ると同時に、各要素が複雑に絡み合っている非常に難解なテーマである。今回紹介した様々な要素を敷衍したオペレーション改革の勘所については、別の機会にて実際の事例と伴に解説していきたい。
(第2回了)
第3回記事はこちら↓
DXの真髄を考えるオペレーション改革の進め方とは?~第3回:プロジェクトを成功に導くポイント~【コンサルタントのインサイト】
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