ポイント

  • ・2024年6月3日の記者会見で、トヨタ自動車の豊田章夫会長は「不正の撲滅は無理だと思います」と発言しました。この発言には重要な示唆が含まれています
  • ・本セミナーでは品質不正が取り沙汰されるようになった2017年から2024年まで、各年代の品質不正事案を分析し、それらに共通する課題や対応策を検討しました
  • ・品質不正はコンプライアンス意識や業務プロセスの不備といった表層的な問題ではなく、より構造的な問題・課題を内包しています
  • ・闇雲に不正・違反ゼロを目標に掲げるのではなく、現実を受け止めた問題発見・適時対応体制の構築が肝要です

目次

1.なぜ品質不正は起きるのか
2.品質不正リスクへの実効的な対応


1.なぜ品質不正は起きるのか? 

2017年発覚の神戸製鋼品質不正事案の外部調査委員会報告書で指摘されている原因と、その後、2024年まで継続して発覚している品質不正事案の原因は、かなり似通ったものになっています。加えて相次ぐ同種事案の発生を受けた自己点検も行われています。
それにもかかわらず、なぜ早期に発見し、解決に向けた動きがとれないのでしょうか?

多くの不正は、継続する「伝統的な慣行」となっており、自己点検では不正と気づきづらい、また、違和感を持っていたとしても全社にわたる問題であり言い出せないといった要因があります。

2.品質不正リスクへの実効的な対応

不正は撲滅すべきものということは間違いありませんが、2024年6月3日の記者会見での豊田章夫会長の発言にもあるとおり、不正は撲滅できないものとして向き合うべきということは、すでに論を待たないものといえます。米国当局のコンプライアンスガイドラインにおいても全てのコンプライアンス違反を防ぐことができるプログラムは存在しないと明記されています。その前提に立って、品質不正リスクに実効的に対応するには、顕在化兆候の早期発見、適時・適切な対応が肝になります。自社で発見した場合とそうでない場合では、対応にかかるコストやストレスに著しい差異が生じることも念頭に、未然予防に偏重せず取り組むことが求められます。

品質不正の発見に向けては、データ分析(統計、パターン、クロスチェック)、プロセス確認(業務フロー、記録検証、システム)、組織的確認(部門間連携、現場、リソース)など様々なアプローチがあります。いずれのアプローチをとるにしても、他社品質不正事案の原因そのものをもとにしたチェックリストでは機能しがたく、どのような現象として現れるかを検討したうえで取り組む必要があります。

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担当:Legal, Integrity &ESG Allianceチーム 水戸貴之
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